DICTIONARY
用語集
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シングルケーススタディ

応用行動分析では、一人一人の対象者に焦点を当て、介入の効果を測定できる「シングルケーススタディ」という方法を発展させてきました。この方法では、介入の効果を測定するための対照群を用いず、対象者が介入を受けない時期と介入を受ける時期を経験し、その前後の行動の変化を測定し数値化したものを比べます。介入や指導のことを独立変数、それに伴う行動変化のことを従属変数と言います。難しい統計処理なども必要とせず(本書では触れないがC検定などシングルケースに適した統計処理法もある)、グラフ化することで視覚的に誰でも簡単に介入や指導の効果を確認できます。これは、臨床現場に非常に適した効果測定法と言えるでしょう。

ある介入法や指導法(独立変数)が、確実に行動の変化(従属変数)に影響を与えているかどうか(関数関係)が確認できれば、介入法や指導法の効果が証明されたことになります。しかし、支援者が実施した介入や指導以外の変数(剰余変数)によって、行動が変化してしまうことがあります。たとえば、支援者がある対象者のために禁煙のための介入(独立変数)を行っている間、たまたま健康診断の結果が悪くて医師に禁煙を勧められた(剰余変数)ために、対象者のタバコを吸う本数(従属変数)が減りました。この場合、対象者の健康のために結果としては良かったのですが、支援者の介入(独立変数)によって、タバコを吸う行動が減った(従属変数)とは言えません。そのため独立変数と従属変数の関数関係を実証するためのシングルケースデザインが発展しています。